人の話を聞くときは、しゃべりすぎないことが大事。
人の話を聞きに行ったのに、自分のほうがたくさん話してしまう人って、いませんか。
先週土曜日に、陶芸家に焼き物の話を聞くセミナーに参加しました。
私は、参加者の一人として黙って話を聞いていたわけです。
講師の方が一通り話し終えると質疑応答の時間がやってきました。
そのとき参加者の複数名が、挙手もせずに、いきなり自分の話を始めて驚きました。
話を聞きに行ったはずなのに、自分のことを話してしまう……。しかもその話が長い。講師は「すごいですね」、なんて言いながら聞いています。
他の参加者も、ただ聞いているしかありません。
自分の話は、プライベートで話せばいいのに……と思いましたが、あっそうか。身近な人に話を聞いてもらえないから、決して反論しない人たちを相手に、しゃべってるのかもしれませんね……。
しゃべりすぎてしまう人は、取材現場でも見かけます。
以前、あるライターさんの取材現場にたまたま居合わせたことがあります。
そのライターさんは、ひたすらしゃべるので驚きました。
インタビュー相手よりも、たくさんしゃべっているのです。
その場にいた編集者によると、そのライターさんは取材時にいつも、自分の考えをしゃべり続けるそうです。
私だったら、相手にできるだけたくさんしゃべってほしいけどなぁ。しゃべってもらうために、質問するのです。
私も、過去に、取材相手が「はい」と「いいえ」ぐらいしか言ってくれなかったことがあり、「これこれ、こういうことがあったんですよね?」「これは、こういうことですか?」などとひたすらしゃべって、一つ一つ確認していき、「はい」と「いいえ」から文章を書いたことがありますが……。それは最終手段です。
「自分の話を聞いて欲しい人」は世の中にたくさんいると思われますが、人の話を聞きに行ったときは、質問は手短かにして一生懸命話を聞く、これが大事だと思います。
【聴く】「例えば…」ばかり繰り返す人は…結論が言えない
取材していると、やたら例ばかり挙げる人がいます。
いきなり、「例えば、〇〇がどうしてこうして…」と話していたと思ったら、そこから、再び「例えば……」が始まり、例えばのループが続くんです。そして、ふと気づくと、ご本人も何の話をしているのかわからなくなっているという……。
こういう場合、ご本人は、親切に説明しているつもりのようです。「こんだけ例を挙げてるんだから、言いたいことはわかるだろ?」みたいな。
この傾向は、理系といわれる研究者に多い気がしますが、理系でなくても「弁が立つ」と言われているような人の中にも、この傾向の人がいます。
そんなとき、私は「この人はなんのために、この例を挙げてるんだろう」と考えながら聴いています。
私がもしも聴衆の一人として、イベントか何かでその方の話を聞いているのであれば、例をたくさん挙げてくれたら、いろいろな話が聴けますから、なんとなく得した気分になるんじゃないかと思います。
しかし、取材の場合は、文章で内容を紹介することを前提で聴いてますから、例を延々と聴かされていると、「だから?」と言いたくなります。
「例えば、こういうことがあります。まとめると、△△なんですよ」となってほしいわけです。例というのは、伝えたいことを補足するものだと思うからです。
例を挙げたら、総括するキーワードを言ってほしいんですよ。それを聴かないと、この話が果たして大事なのかどうか、例を紹介する必要があるのかどうか判断できませんからね。
しかし、これをなかなか言ってくれないことが多いんですよ。ご本人もそこまで考えていないというか、頭の中に漠然としたイメージがあっても、言語化されていないこともあります。
結論の一言がないと、わけがわからない話になります。
だからと言って、私が勝手に考えて書いてしまうわけにはいきません。
「それって、こういうことですか?」みたいに、こちらから質問してそれを聞き出すわけです。
反対に、文系の人は、結論を非常にシンプルな言葉でまとめすぎていることがあります。まとめ過ぎていて、なんでそう言えるのか、全然わからないんです。そういう場合は、「例えば、どういうことが起きるんですか?」とかなんとか、質問するわけです。
そんなわけで、相手によって何を質問するのかは違う、ということです。
賢い人は要注意。読みにくい文章の条件。
私はライターで、文章を書いて生活していますが、別に文章がうまいわけではありません。
ただ、読みやすい、わかりやすい文章を書くことを心がけています。さらに、リズムとテンポがあって、気持ち良く読める文章です。
世の中には専門分野の知識を持っている方が、たくさんいらっしゃいます。
それを学会の論文などで披露する場合は、読む人もみんな同じ業界の、頭がいい方々なので、専門用語ばかり、引用ばかり、漢字ばかりでいいと思うのです。
でも、一般の方向けに書く場合は、もうちょっと工夫されたほうが言いたいことが伝わるのにな、と思うことがあります。
人気のブログなどは、きちんと読む人たちに合わせて書いてありますよね。人気のブログを読んでいると、みんな文章が書けるし、うまいな~と思ってしまうのですが、そういう方ばかりではないようで……。
最近、読んだ、ある大学の先生の文章はこんな感じでした(その方に聞きたいことがあって質問したところ、文章で答えが返ってきたのです)。
●難解な言葉を使いすぎる。
私がいまだかつて、見たことも使ったこともないような言葉が次々に出てきて、私の脳みそのレベルでは、何が言いたいのかいまひとつ腑に落ちない感じでした。感覚的としてわからないというか、共感できないというか……。
●話の枝が広がり過ぎる。
話の枝があちこちに広がっていって、いったい何を言いたいのかわからなくなっていました。
私が仕事で文章を書くときは、逆に、枝を切り落としています。言いたいことをストレートに伝えるために。
●唐突に、説明が必要な単語が出てきくる。
思考の流れって大事だと思うんですよ。読み進めているときに、いきなり「はて?」と思う言葉(いろんな解釈ができる言葉)が出てくると、「これ、どういう意味で使ってるんだろう」と考えてしまうため、思考の流れがそこで止まってしまいます。
●自分の賢さを表現する文章になっている。
結局、難解な言葉を多用するのは、俺は賢いんだぞと、意識してか、無意識にか、わかりませんが、主張しているのかもしれませんね。文章を書くことの目的が自分の賢さを表現することなら、それでもいいのかもしれません。個人のブログなどであれば、それもOKですよね。
でも、広く、多くの人に何か伝えたいものがある場合、それを伝えることに集中したほうがいいんじゃないかと思います。
●他者への視線が感じられない。
感じたのは、自分の世界だけで完結していて、他者への視線、他者からの視線が感じられない、ということです。社会のことを論じておられるのですが、社会で生きる普通の人々への思いやりとか配慮とか、そういうものが言葉の使い方から感じられないので、ものすごく「上から目線」を感じてしまったのでした。
考えを整理して、書き方を工夫すれば、もっとメッセージが伝わると思うのですが……。
私はこの方から文章へのアドバイスを頼まれたわけでもなく、ご本人に直接は言えないので、ブログに書いています(笑)。
中身がない人に会ってしまって、反省&愚痴
久しぶりに、中身がない薄っぺらい人に会ってしまい、びっくりしています。というか、そんな人に取材を申し込んでしまった自分に、がっかりして落ち込んでいます……。
その人は、ハーバードで受けた授業がなんちゃらかんちゃら、大企業の●●ではどうしたこうしたとか、●●の社長がどうのこうのと、次から次へと、どっかで聞きかじったようなことを口にするんですよ。このぐらいの話は、ビジネス書を読んだり、テレビを見れば、誰にだって言えます。そんな程度。
それで、鋭い見解とか、自分なりの考察というか、そこから何を学びとったのかとか、そういうことが感じられないわけです。
ただ、適当に思いついたことを、言ってるだけ。ペラペラと。やたら饒舌に。
見事に、話の中身がない。
この人が大学教授(あまり人気があるとは言えない大学の)とはびっくりです。
経歴はものすごく立派。日本の某有名私立大学を卒業してることを、何度も何度も言うんですよ。過去に有名大学で講師をしてたとかね。
いろんな学会や団体に、かかわっています。
もしかしたら、過去には優秀だったのかもしれませんが……実際に会ってみると……
「今」、頭を使ってる感じを受けないのです。
70代、80代でも、すごい人はいるんですよ。
そういう方に会うと、学ぶことが多いし、刺激を受けます。
でも、この人は違いました。
歳を取ると、個人差が本当に大きいです。
そういえば、私のまわりにも、有名大学出身でも、「仕事が全然できないおじさん」はいますからね。
偉そうなことを書いている私自身は、普通のオバサンですけどね。うっかり、失敗したりもしますよ。
ただ、大学教授なのになぁ、と思ってしまったのです。
ちゃんとした大学教授をたくさん知ってるだけに、この違いに驚いてしまったというか……。
この人を見付けたのはネットです。ご本人のHP、インタビュー記事を見まして、興味をもち、著書を買って読んだら、それなりにおもしろかったんです(実際は、著書はライターが書いたものだそうです……)。
ネットでは自分がいかにすごいかを、自分でいくらでも書けますからね。
本当にすごい人を探すのは難しいですね。
特にビジネス界の人は。
ビジネス的に「自分をアピールするのがやたらうまい人」というのがいらっしゃるようで、実物以上に見せてしまえるという……。
それもひとつの才能だとは思うんですが、発言をかっちりした文章にまとめようとすると、オリジナリティがないことがバレバレになってしまうんですよ。
講演会の講師をやってるような人だから、大丈夫かと思ったんですけど、「本当はたいしたことないから、アピールに必死なのかも」と考える必要があったということです。
今、何が気が重いかって、こんな中身のない人の発言を、かっこいい原稿にしなきゃいけないことです。そして、それを読んだ読者が「この人、すごい人なのかも」と勘違いするのかと思うと、なんともつらいです。
初対面の人と緊張せずに話をする方法
ネットでコミュニケーションに関する記事を読んでいて、ふと思い出しました。
私はコミュニケーションを誰かから学んだことはありません。
でも、初対面の人に話を聞く行くのが、私の仕事です。
「初対面の人と何時間も話ができるなんて、すごいですね」などと言われることがありますが、まったく緊張しません。
なぜかというと、必死だからです。
緊張するのは、「自分がどう思われるか」を過剰に気にするからではないでしょうか。
私の場合は、基本的に聞きたい話があるから、人に会いに行くわけです。
せっかくお会いできた人に、この話をしてもらわなくちゃ、わからないことがあったらその場で質問しなくちゃ、と頭の中ではそういった複数の目的が渦巻いているので、「自分がどう見られているか」はあまり気にしていません。
「あまり」なのは、まったく気にしないというのは、うそになるからです。相手に対して失礼なふるまいをしないように、それは気をつけています。
おそらく「この人、頭、悪いかも」と思われてることが多々あると思います。
何度も同じようなことを言わせてしまうこともあるので…。
実際に「先ほど申し上げました通り……」と何度も言われることがあります。
それは、今の話とさっきの話がどうつながってるかを、私が理解してないからですが、話してる人はあたり前のことでも、聞いてるほうはそれをいってくれないと、理解できないわけです。
さっき聞いたことの上に、今の話が乗っかっているとか、そういう構図を把握するのは難しいですから。
でも、「頭が悪い」と思われてもいいんですよ。
頭の悪い私に向けて、わかりやすく、ものすごく丁寧に話してくださればそのほうがうれしいことです。
初対面の人とのコミュニケーションで大事なのは……相手の話を一生懸命聞くことではないでしょうか。当然のことなから、私が話すのは質問だけです。私の考えはどうでもいいからです。逆に、何か質問されたら答える、そんな程度です。
とにかく、言いたいことを吐き出していただくのです。話が多少ずれても、そのまま聞いています。そんなことをしていると、ほとんどの方が、予定時間をオーバーするほど語ってくださいます。
そもそも、ちょっと頭は悪そうだけど、話を一生懸命聞いている私を、人はそんなに冷たくしたりしないものですよ。
もちろん、そのためには、何を聞きたいのか、何がわからないのか、会う前に考えておく必要があります。
【まとめ:初対面の人と緊張せずに話をする方法】
①何を聞きたいのか、あらかじめ決めておく。
②自分から質問して、相手の話を一生懸命聞く。
③「頭が良さそう」と、思われようとしない。
自分を「正しい」と信じている人は、怒っている
自分の正しさを信じて疑わない人は、怒っている傾向があるような気がします。
例えば、社会にとって良い活動をしているNPO法人の代表に何度か取材させていただいたことがあります。
その方たちは、とても怒っていました。
最初から最後まで。
きっと、今まで思い通りにならないことがたくさんあり過ぎて、いつも怒っていたら、それが癖になってしまったのかもしれません。
なんでそんなことも知らないわけ?的な。
あなた、そんなこともわからないの?的な。
そのぐらい気づけよ、的な。
そうです。
ご自身は気づいてないかもしれませんが、ものすごく高圧的になっておられました。
それがコミュニケーションの基本のようです。
最初は少しでも活動のお役に立てればなと思って話しているんですが、ずっと怒っていて、あからさまに「お前はわかってない、ダメな人間だ」と態度で示されるので……。
もう、かかわりたくないな、と思ってしまうんですよ。
癖になってると自分では気付かないんですよね、きっと。
いつも怒ってる人以外にも、いつも他人のやることをチェックする人、いつもやる気がなさそうな人もいます。
すごく損しているかも、ですよ。
Q初対面の人とうまく話すにはどうしたらいいですか。
よく聞かれる質問です。
別にうまく話そう、なんてしなくてもいいと思います。
相手が日本人で、あなたも日本人だとしたら、とりあえず言葉は通じます。
よかったですね。
あなたが何か言えば、会話は成立するということです。
一番大事なのは、相手に興味を持つことです。
別に流暢に、かっこいいことを言わなくても、男性には「仕事は●●なんですか」とか、おしゃれな人には「その持ち物、素敵ですね」とか、ワインを飲んでる人がいたら「ワインが好きなんですか」とか、何か興味を感じたことを、そのまま口に出せばいいんです。
もちろん、興味を感じたからといって、相手をバカにするような言い方をしては絶対に言ってはいけませんけどね。
あるいは、相手とあなたの共通点がわかっていたら、それについて話をしてみるのもいいと思います。
出身地、学校、職場、趣味、過去に住んでいた場所、過去に行ったことのある観光地、海外旅行の経験など。
相手にとくに興味がなく、共通点も見つからない人と話さなくてはならない場合もあります。
そういう場合、有効なネタは「どこからどうやって来たか」です。
これは東京に住んでいる人にとって最強のネタです。
たとえば、銀座での会合だったら、JRでも、地下鉄でも、いろんな行き方があるからです。
「私は●●線であそこで乗り換えて●●駅からきたんですけど、そっちのほうが近かったですかね」などと言って、相手を喜ばせてあげてください。
自分のほうが賢く、ベストな選択をしていると思うと、人は優越感を感じ、いい気分になるものだからです。