聴く、話す、書く コミュニケーション仕事術

聴く、話す、書くを仕事にしてきたライター林が、すぐに役立つコミュニケーション術を紹介します。

【聴く】「例えば…」ばかり繰り返す人は…結論が言えない

取材していると、やたら例ばかり挙げる人がいます。

いきなり、「例えば、〇〇がどうしてこうして…」と話していたと思ったら、そこから、再び「例えば……」が始まり、例えばのループが続くんです。そして、ふと気づくと、ご本人も何の話をしているのかわからなくなっているという……。

こういう場合、ご本人は、親切に説明しているつもりのようです。「こんだけ例を挙げてるんだから、言いたいことはわかるだろ?」みたいな。

この傾向は、理系といわれる研究者に多い気がしますが、理系でなくても「弁が立つ」と言われているような人の中にも、この傾向の人がいます。

そんなとき、私は「この人はなんのために、この例を挙げてるんだろう」と考えながら聴いています。

 

私がもしも聴衆の一人として、イベントか何かでその方の話を聞いているのであれば、例をたくさん挙げてくれたら、いろいろな話が聴けますから、なんとなく得した気分になるんじゃないかと思います。

しかし、取材の場合は、文章で内容を紹介することを前提で聴いてますから、例を延々と聴かされていると、「だから?」と言いたくなります。

「例えば、こういうことがあります。まとめると、△△なんですよ」となってほしいわけです。例というのは、伝えたいことを補足するものだと思うからです。

例を挙げたら、総括するキーワードを言ってほしいんですよ。それを聴かないと、この話が果たして大事なのかどうか、例を紹介する必要があるのかどうか判断できませんからね。

しかし、これをなかなか言ってくれないことが多いんですよ。ご本人もそこまで考えていないというか、頭の中に漠然としたイメージがあっても、言語化されていないこともあります。

結論の一言がないと、わけがわからない話になります。

だからと言って、私が勝手に考えて書いてしまうわけにはいきません。

「それって、こういうことですか?」みたいに、こちらから質問してそれを聞き出すわけです。

 

反対に、文系の人は、結論を非常にシンプルな言葉でまとめすぎていることがあります。まとめ過ぎていて、なんでそう言えるのか、全然わからないんです。そういう場合は、「例えば、どういうことが起きるんですか?」とかなんとか、質問するわけです。

 

そんなわけで、相手によって何を質問するのかは違う、ということです。